世界9位の錦織圭(27=日清食品)が、崖っぷちからの大逆転だ。大会推薦出場で同225位のポール(米国)に3本のマッチポイントを握られながら3-6、7-6、6-4の2時間39分の激闘で逆転勝ちを収め、4強に進出した。

 残り1ポイントで敗れるところまで、3度も追い込まれた。しかし、その度に、錦織はよみがえった。ランク下とはいえ、17位と21位に勝って上がってきた生きのいい20歳の新星相手に「第2セットも終始押されていた。相手が勝っても不思議ではなかった」と自ら辛勝を認めた。

 2、3回戦と深夜に及ぶ試合のダブルパンチが響いた。特に前日の3回戦は午前0時を回ってからスタートし、終わったのが午前2時。「昨夜寝たのも午前4時で脚が動かず、体はきつかった」。重い体は切れがなく、球に半歩ほど追いつかなかった。

 それでも3回戦のデルポトロ相手に見せた充実したプレーをつなぐためにも負けられない。気力だけで体を動かし、崖っぷちから生還した。今季、なかなか勝利に結びつかなかった接戦を2回戦に続きものにした。

 次戦は今季ツアー3勝を挙げ、急成長を遂げた20歳のズベレフと初対戦する。今週の世界ランクではズベレフの方が上「今日よりもさらに攻撃力が備わっている。よりタフになる」と警戒を強める。今季初優勝まであと2勝。どれだけ体力が回復するかがカギとなる。