ヤマハ発動機のFB五郎丸歩(31)が、トップリーグに戻ってきた。今季開幕節のトヨタ自動車戦に先発し、日本で2季ぶりにプレー。後半7分にハイパントで同点トライを演出し、ゴールキックは2度の機会を確実に決め、14-11の勝利に貢献した。豊田スタジアムにリーグ新記録となる2万7871人の観客が詰めかける中、健在ぶりを示した。

 最初のトライは、キックで演出した。0-5の後半7分、五郎丸が蹴ったハイパントをWTB伊東が競った。左に展開し、再び中央でボールを受けた伊東が同点トライを決めた。その直後、五郎丸がゴールほぼ正面にキックティーを置いた。フランス1部リーグのトゥーロン所属時に改良に取り組み、ボールをゴールの方に少し傾けてセットした。両手を合わせるルーティンは今はない。間をおかずに蹴り、7-5と勝ち越した。16年1月24日のリーグ順位決定トーナメント神戸製鋼戦以来、日本での572日ぶりの得点となった。後半23分にも約20メートルの距離からきっちり決めた。「誰が蹴っても入る場所でしたね。もう少し蹴りたかったです」と振り返った。

 前半からキックは好調だった。開始直後、自陣10メートル付近で反則をもらった。タッチキックで敵陣深くまで飛ばし、好機をつくった。清宮監督は「反則から大きく陣地を取れるのは頼もしい」と目を細めた。

 スーパーラグビーのレッズ、トゥーロンで海外挑戦するも、思うように試合に出られずに苦しんだ。しかし、ヤマハ発動機に復帰した直後の7月の北海道合宿で実戦感覚を養った。合宿初戦の近鉄戦は後半の40分から出場し、1トライを奪った。2戦目のNTTコミュニケーションズ戦は先発して60分間出場。その後2戦はフル出場し、トップリーグ開幕に合わせた。4試合でプレースキックは23本中19本を決めるなど、成功率82・6%を誇った。それでも試合では連係ミスによるノックオンなども見られた。「今日は70%。まだまだ出来る」とも話した。

 この日、豊田スタジアムには2万7871人の観客が詰めかけ、これまでリーグ最高観客数2万5164人を更新した。五郎丸は「雨でしたが、すてきな環境でプレーできた。次も愛知で試合なので、また来てほしい」とラグビーのPRも欠かさなかった。【大野祥一】