ベルギーGP予選でマクラーレン・ホンダの2台はともにQ2に進出を果たしたものの、Q3に進むことはできなかった。最後のタイムアタックで「ノーパワー!」と怒りの声を上げタイム更新できなかったフェルナンド・アロンソは、0.084秒差で11位となりQ3進出を逃した。

 「ターン11〜12でパワーがなかったんだ。だからアタックを辞めた」

 これはERS(エネルギー回生システム)のアシストがオンにならなかったため。

 予選での120kW(約160馬力)のERSアシストは、スロットルペダルの開度によってマシンがどこを走行しているかをコンピューターが判断して自動的にオンオフを行っている。マクラーレン・ホンダの場合は予選でもターン10でスロットルを戻してコーナリングしていたが、最後のアタックではターン10〜11を全開で旋回してしまったため、コンピューターがコーナーを脱出したと判断せずERSのアシストがオンにならなかった。

 「スロットルの開度でどのセグメントを走っているかを判断してディプロイメントのオンオフを自動的にしているんですが、あの最後のアタックラップではフェルナンドがターン10から11まで全開で走ってしまったんです。それまではターン10でリフトしていたのに、予選最後のアタックだけは全開でいってしまった。だからターン9から12までがひとつのストレートと見なされて、ターン11の先でアシストがオンにならなかったんです」(ホンダ長谷川祐介F1総責任者)

 アロンソはパワー不足に不満を訴えながらも、マシンの速さは予想以上だったと語った。

 「問題がなければQ3にだって行けたかもしれない。予想していた以上にコンペティティブだったよ。マシンパフォーマンスの良さが確認できたのはポジティブなことだ。このサーキットでのパワーの不利がどのくらい大きいかは分かっているし、Q1とQ2で1.5秒差とか1.7秒差のタイムで走れたということは1位・2位になれるということだからね」

 なお、スパ・フランコルシャンでのパワーがラップタイムに与える影響は10kW(約13.6馬力)あたり0.25秒ほど。最終的には予選Q2でアロンソはトップのルイス・ハミルトンに2.163秒差をつけられており、ホンダとメルセデスAMGの60kWの出力差がなかったとしても首位争いはできなかったと推察される。

 これについてホンダの長谷川総責任者は、反論はせずとにかくパワーユニットの出力向上を目指すのみだと語った。

 「それに関しては僕もすごく思うところはありますけど、やはりレースというのは一番じゃなければ何を言っても言い訳になってしまいます。ウチのパワーユニットが一番でないことは確かですし言い訳はしません」

(米家峰起通信員)