初出場の男子100キロ級ウルフ・アロン(21=東海大)が決勝でジョージアの選手に勝利し、金メダルを獲得した。準決勝ではコレル(オランダ)に延長で優勢勝ち、準々決勝ではリオ五輪銀メダルのガシモフ(アゼルバイジャン)を破った。

 ウルフは初出場ながら、どこまでも強気だった。「世界で戦う地力は足りている。優勝できる実力はあると思っている」。こう言った通り、一気に頂点へ上り詰めた。21歳の新鋭は6試合で4度の延長戦を制し「自分の持ち味は根性とスタミナ。全て出し切った感じがする。今年目標としていた大会でこういった結果になって最高」と達成感に浸った。

 初戦からの3試合を勝ち上がり、難関は準々決勝。「技を掛けるのを待って、投げ返してくるタイプが苦手」と言う。代表格のガシモフ(アゼルバイジャン)が相手だ。勇猛果敢に戦って残り1分。大内刈りで技ありを奪って逃げ切り、リオ五輪2位の強豪を撃破した。

 準決勝は世界ランキング1位のコレル(オランダ)を冷静にさばき、延長1分18秒に得意の大内刈りで技あり。決勝は90キロ級でリオ五輪2位のリパルテリアニ(ジョージア)に指導2つを取られ、迎えた延長27秒で大内刈りを決めた。

 前回覇者の羽賀は大学の先輩だが、強烈に対抗心を燃やす。4月の最終選考会で羽賀を破って優勝しながら、今大会の代表は2人。「まだ僕1人では力不足かなと感じる」と東京五輪の代表争いをにらみ、発奮材料にして鍛えてきた。

 東京の下町生まれで、父は米国人。リオ五輪90キロ級覇者のベイカー茉秋(日本中央競馬会)とは中学から大学まで同じ道を歩んだ。21歳の新鋭が先輩の背中を追い、力強く王座に就いた。

 ◆ウルフ・アロン 1996年(平8)2月25日、東京都生まれ。6歳で柔道を始める。千葉・東海大浦安高時代は高校選手権、金鷲旗、高校総体などでタイトルを獲得。東海大進学後は15、16年講道館杯を連覇。17年全日本選手権準優勝。世界ランキング31位。得意技は大外刈りと内股。米国人の父と日本人の母を持つ。180センチ。