女子SPで樋口新葉(16=東京・日本橋女学館高)が74・26点の自己ベストで首位に立った。メリハリのある動きとスピード感あふれる滑りで17年国別対抗戦の自己記録を2・85点更新し、浅田真央、宮原知子に次ぐ日本女子歴代3位。目標に定める18年平昌五輪へ好スタートを切った。

 シニア2年目の樋口はひと味違う。演技後半の連続ジャンプ。3回転ルッツは理想と違った。それでも「練習から何が何でもつけるようにしていた」と続く3回転トーループを回しきった。跳んだ瞬間に体が緩む「パンク」の癖を我慢し、最後は満面の笑み。「まだ状況把握できていない」と予想外の自己ベストに驚いた。

 五輪がかかる今季の新プログラムはバレエ「ドン・キホーテ」の「ジプシーダンス」。テンポが速く、メリハリのあるリズムが特徴で、そこに持ち味のスピード感を加える。昨季のSP「ラ・カリファ」は、大切な男性を亡くした女性の悲しみを表現。鏡を見て表情を作るなど試行錯誤した経験が「つながっている」と貯金になった。「結構、自分らしいと思います」と納得する新曲で、14年ソチ五輪銅メダルのコストナー、昨季の世界ジュニア女王ザギトワを上回った。

 国内の競技会2試合をこなしたとはいえ、今季は3試合目で海外初戦。伸びしろはまだまだある。1年の目標は「全試合200点台」。余韻に浸ることなく「ショートで稼いだ点は安心するけれど、しっかり集中してやっていきたい」と15日のフリーを前に、自分に言い聞かせた。【波平千種通信員】