マクラーレン・ホンダは7番グリッドからスタートしたストフェル・バンドーンが7位入賞を果たした。

 予選ではパワーユニットの予選モードの威力もあり7番手を獲得したが、決勝ペースには不安を抱えながらのレース。ホンダのスペック3・5から向上した0-100km/h域の低速トルクが威力を発揮してスタートで5番手に浮上したが、フォースインディアのセルジオ・ペレスを抑えることは難しかった。6位に下がってからはウイリアムズ勢を上手く押さえ込んでポジションを守ったが、ピットストップ作業に手間取りウイリアムズ勢の後方へ。しかし彼らがバトルをする隙を突いて2台同時に抜き去り7位を奪い返した。 自分の走りに満足しているというバンドーンは、16戦のF1出走経験の中でベストレースだと語った。

 「間違いなくF1における今までのベストレース、ベストドライブだろうね。フォースインディアやウイリアムズを抑え続けるのは難しいだろうと思っていたけど、抜かれてしまったのはペレスだけだったし、その後はとても良いペースを維持することができたし、タイヤをマネージメントしながらも毎周プッシュしてストロールとのギャップを広げていくことができた。とても満足しているし、とても嬉しいよ」。

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は、マシンパッケージとしての実力を出し切った結果だと自分たちの仕事に一定の評価を与えた。

 「シンガポールGPの7位は上位勢がかなり(3台)いなくなっての7位ですから、今回の7位の方が格段に嬉しいです。スペック3・7の純粋な実力で言えば、低速トルクを向上させたなどいろんな要素によって、充分ポイントが狙えるポジションにいると思っています。ですから信頼性の問題なく週末を戦うことができれば、こういうレースができるということです。少なくともここでは実力をフルに発揮できたし、(現状のマシンでは)理論的にはそれ以上はない。そういう意味では大変満足しています。ただ2台揃ってじゃないのが残念ですね」。

 長谷川総責任者が指摘した通り、10番グリッドスタートのフェルナンド・アロンソは土曜日からのマシンの違和感が払拭できず、ペースが伸び悩んだ。戦略面でもピットストップをかなり後まで引っ張ったこととタイヤ交換作業にお4・1秒を要したことで数台に先行され、11位まで挽回するのがやっとだった。

 アロンソは「スタートで中団集団に埋もれてしまい、純粋なペースは僕の方が速かったけど抜くことはできなくてレースは妥協を強いられた。もう少し良い1日にできるはずだったのに」と悔しさを滲ませた。(米家峰起通信員)