ドイツ公共放送ARDは12日、世界反ドーピング機関(WADA)が15、16日に開く理事会で、規定を順守していないとして資格停止としているロシア反ドーピング機関(RUSADA)の処分を解除しない方針と報じた。資格回復の見送りは、来年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピックでのロシア選手団の出場停止につながる可能性がある。

 ARDは資格回復が認められない理由として、ロシアの国ぐるみのドーピングを認定したWADA調査チームの報告書の内容を、同国が認めていないことなどを挙げた。ロシアのムトコ副首相は13日「ARD記者がWADAの広報官のように発表している。何の裏付けもない情報だ」と述べ、反発した。

 一方で8日に国家ぐるみのドーピングはなかったとの捜査結果を発表したロシア連邦捜査委員会は13日、モスクワにあるドーピング検査所のデータベース調査で協力する用意があるとWADAに伝えたと発表した。

 国際パラリンピック委員会(IPC)はRUSADAの資格回復が、ロシア選手の平昌大会出場可否の判断材料としている。五輪についても、ソチ大会で採取した同国選手の検体を再検査中の国際オリンピック委員会(IOC)が12月の理事会で最終判断する見込み。

 ARDはロシアの組織的なドーピングを暴いてきたことで知られる。