世界ランキング11位の日本代表が、W杯3度の準優勝を誇る同8位のフランス代表に23―23で引き分けた。世界屈指の強力FWを擁し、過去9戦全敗の格上に後半は一時リードするなど、互角の戦いを演じた。惜しくも歴史的勝利は逃したが、19年W杯日本大会で8強入りを目指すジョセフジャパンが確かな手応えを得て、17年シーズンを締めくくった。

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 フランスとの引き分けに驚きはないし、この結果に満足もしてほしくない。目標は、あくまでも2年後のW杯。そこで勝たないと意味はない。ただ、その勝ちにつながるという意味で、大きな引き分けだった。

 選手が課題を共有し、自分たちで考えながらゲームをしている。そこが成長。特に「入り」が良かった。いきなりリーチ主将のタックル2連発。オーストラリア戦後「規律がない」と話した主将が、自ら範を示した。調子が上がらない中で格下に「勝たなければ」と硬くなる相手に対して、この先制パンチは効いた。

 倒されても起き上がり、1歩前に出る。これも全員が徹底していた。SH流の速いテンポのパス回しを恐れて相手がラックに入って来ないため「起きて前へ」ができた。この戦い方も、全員が共有していた。

 勝ち越しを狙ったSO田村のゴールは、決して難しいものではなかった。キッカーはあらゆる状況を想定して練習するが「決めれば強豪に勝てる」というイメージは田村になかった。だから外した。今後は、練習からイメージすることができる。そのためにも、この経験は大きい。W杯で勝ち進んだ時「フランス戦が転機になった」と言えるはずだ。(日刊スポーツ評論家)