W杯(ワールドカップ)通算53勝のエース高梨沙羅(21=クラレ)は開幕戦4位に終わり、男女を通じて歴代単独最多となる54勝目は持ち越しとなった。1回目は93メートルで4位、2回目は89メートルで2回合計252・0点で順位を上げられなかった。伊藤有希(23=土屋ホーム)は5位だった。

 記録達成はまたお預けとなった。1回目に93メートルを飛び4位につけたが、2回目は89メートルと伸びず、2回合計252・0点で順位を上げられなかった。昨季、男子のシュリーレンツァウアー(オーストリア)の53勝に並び王手をかけながら、これでシーズンをまたいで2戦連続で快挙は持ち越しとなった。「勝負の年」と位置づける五輪シーズンのスタートは苦いものとなった。

 当地はジャンプ女子の歴史が始まった場所。過去、原点の地では7戦で5勝を挙げ得意としてきたが「前日の予選でバランスを崩した」と話し、修正を試みたが、ジャンプ台に合わせることができなかった。フィンランド・ロバニエミで行った直前合宿でも、陸上トレーニングはこなしてきたとはいえ、気候などの影響でほとんどジャンプ練習ができなかったなどが響いた格好だ。

 ただ、目の前の結果に一喜一憂しない。14年ソチ五輪で4位に終わりメンタル面の弱さを痛感し、4年間かけて強化。「イメージと動きを擦り合わせて修正したい。少しずつアベレージを上げて(来年2月の)平昌五輪につなげたい」と話す。平昌への道のりの途中に、通算54勝の大記録がある。【松末守司】