20年東京五輪に向けてハンドボールの男子日本リーグに東京のクラブが参戦する。東京・墨田区をホームに「TOKYOトライスターズ墨田」が来春の結成を目指していることが18日、分かった。既存のチームではなく0からのチーム作りで、来年1月20日に都内でトライアウトを実施するなど選手集めを進めている。

 仕掛け人は、日本リーグ唯一のクラブチームである琉球コラソン社長の水野裕矢氏(37)。選手兼GM時代に経営破綻のチームを再生した手腕が買われ、今年4月には日本協会事業プロデューサーにも就任した。「沖縄での経験は、そのまま生きる。東京の方が人も金も集まりやすい」と、同氏は自信をみせた。

 かつての男子日本リーグには三陽商会、三景、中村荷役と東京を本拠とするチームがあった。しかし、2000年前後に相次いで離脱、クラブチームとして後を継いだHC東京も06年に消滅した。現在、日本リーグは男女とも東京のチームが0。五輪団体球技ではハンドボールだけだ。消滅前のHC東京でプレーした水野氏は「構想は5、6年前からあった。東京にも子どもたちの目指すものが必要です」と熱く話した。

 チームは大卒選手や他チームからの移籍組などで来年2月に始動する予定。大崎電気で出番の減っている宮崎大輔(36)の獲得も目指す。日本代表に復帰し、人気も相変わらず。「もし大輔が来てくれれば、チームの顔として観客動員も見込める」と期待した。

 東京都リーグなどには所属せず、同6月に日本リーグ機構の加盟審査を受ける予定。経営面や実力などが総合的に評価されれば、19-20年シーズンから参加の道が開ける。IT系企業がメインスポンサーとなり、墨田区との協力で同区総合体育館(JR錦糸町駅徒歩3分)をホームに、他の都内の体育館でも試合を開催する予定。結成即日本リーグ入りは異例だが「準備は進んでいます」と水野氏は加盟に向けて言い切った。

 男子日本リーグは現在9チームだが、首都圏は埼玉県三芳町に大崎電気があるだけ。水野氏は「東京五輪でハンドボールを見て、また見たいと思っても、近くでやっていない」と危機感を募らせる。ハンドボールと東京を近づける切り札が日本リーグの「東京」参戦。「3年後の五輪に所属選手を出すこと。さらに日本一になること」。水野氏は笑顔で野望を口にした。