カヌーの有力選手がライバル選手の飲料に禁止薬物を混入する前代未聞の出来事について、各界からコメントが寄せられた。

 ◆陸上男子ハンマー投げ04年アテネ五輪金メダリスト室伏広治氏 前代未聞でありスポーツマン精神に反する出来事で言語道断。一方で、被害側も対策はすべきだった。私も選手村で食事中、席を離れる際は必ず誰かに見させていた。帰ってきた時も変わったことはなかったかを確認し、食事をしていた。日本のアスリートはもう少し危機感を持つべきだと思う。口にするものはアスリート自身の責任というのは当然のこと。今回の場合、フェアプレーに著しく反するが、そういう危機感を持つことは重要だと教えてくれた。海外ではよくある話。ボトルを1回開けて席を離れたら、もう飲むなというのは当たり前。今後、競技団体を含めて指導していくべきだ。

 ◆柔道男子日本代表・井上康生監督 現役時代には思いもつかなかった非常に怖い問題。時代は動いていると感じた。選手、コーチ、所属が(禁止薬物の)正しい情報を共有し、対策を練る必要がある。

 ◆競泳日本代表・平井伯昌ヘッドコーチ 東京五輪に出たいとの思いが強く、自分に負けてしまったのか。五輪の怖さを感じる。大変残念。

 ◆友添秀則・早大教授(スポーツ倫理学) あしき勝利主義が背景にある。名誉、地位のために勝利が必要。そのために手段を選ばない典型例だ。世界は、記者会見中でも事前に用意された飲み物に手を出さない選手が多い。陥れられることを警戒している。日本はドーピングに対する感受性が低く、教育もされていない。わが国もアンチ・ドーピングへ、いい契機にすべきだ。

 ◆浅川伸・JADA専務理事の話 残念であることは間違いない。(加害選手に)踏みとどまるものがなかったのかなと思う。(スポーツ選手に求められる)ロールモデルについての教育をもっと拡大していく必要性がある。