小野塚彩那(29=石打丸山ク)が82・20点で5位と健闘した。

 予選の上位12人による決勝では、1回目は尻もちをついて50・80点、2回目は77・20点と伸びない。後のない3回目。冒頭で大技の横2回転半を鮮やかに成功させると、横2回転の連続技などを決め、順調に演技。だが最後に再び挑んだ横2回転は、回転が足らず着地が乱れた。痛恨のミスに思わず天を仰ぐ。得点は82・20点だった。

 前回ソチ大会銅メダルに続く表彰台とはならず、小野塚は「ベストを尽くした結果。しっかり受け止めたい。上位3人のレベルが圧倒していたので、どう食いついていけるか、だった。もう少しだったかな」。笑顔は次第に曇り、言葉に詰まりながら話した。

 昨年12月のW杯で転倒。脳振とうで病院に搬送された。五輪を約2カ月後に控えた時期に約1カ月、雪上から離れた。調整不足が響き、五輪と並んで重要視してきた1月の世界最高峰の大会、Xゲームでは6位。大舞台での経験を積んできた29歳の目から止めどなく涙が流れた。悔しさは五輪で晴らすしかなかった。

 小野塚は新潟・南魚沼市出身。2歳からスキーを始めた。速さを競うアルペンスキーで活躍していたが、フリースタイルスキーのハーフパイプがソチ五輪から新種目になることを契機に転向。当初は海外遠征費など資金面での苦労が絶えなかった。自身のアルバイトや後援会のサポートを受け、限られた海外遠征の中で力を伸ばし、ソチ五輪では銅メダルを獲得。昨年の世界選手権も制するなど同種目をけん引する存在となった。

 優勝したキャシー・シャープ(カナダ)の得点は95・80点。昨年の世界選手権を制し、2大会連続メダルの期待も高まっていたが、世界の壁は高かった。それでも五輪を前にした負傷にめげず、勇気を持って果敢に挑んだ小野塚。その姿は称賛に値するものだった。【上田悠太】