女子レスリングで五輪4連覇を果たし、国民栄誉賞も贈られた伊調馨選手が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長からパワーハラスメントを繰り返し受けたとして、レスリング関係者が1月、代理人弁護士を通じ、内閣府の公益認定等委員会に告発状を出していたことが28日、分かった。

 代理人弁護士の事務所が明らかにした。

 栄氏は28日に取材に応じ、告発内容を否定した上で「協会と話し合って対応を決める。五輪4連覇に一生懸命協力したのに、なぜこんなことになったのか」と話した。

 告発状によると、伊調選手は2004年のアテネ五輪と08年の北京五輪を連覇した後、指導を受けていた栄氏の意に反して、練習拠点を愛知県から東京都へ移動。それをきっかけに、伊調選手への嫌がらせが始まったとしている。

 10年開催の世界選手権のためロシアに遠征した際には、伊調選手のコーチを務める強化委員の男性に指導をやめるよう命じ、従わなかった男性に「言うことを聞かなければ出ていけ」などと脅したと訴えている。

 16年のリオデジャネイロ五輪の直前も、伊調選手が練習場所としていた警視庁の施設に出入りできないよう圧力をかけるなど、パワハラを繰り返したと主張している。