日本大教職員組合文理学部支部は24日、田中英寿理事長が記者会見を開いて被害者らに謝罪し、信頼回復に向けて大学の抜本的改革に乗り出すよう求める声明を出した。

 

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声明

 

2018年5月24日

日本大学教職員組合文理学部支部長 初見基

 

 危険タックルを行った学生自身による5月22日の勇気ある記者会見、そして5月23日の内田正人前監督と井上奨コーチの記者会見によって、日本大学アメリカンフットボール部問題は、競技反則のあり方にとどまらず、大学法人本部の危機管理能力欠如をいよいよもって露呈させている。とりわけ23日の内田前監督らの会見は、司会者の不遜な態度を含め、大学側の不誠実さを広く世に知らしめた。このままでは、5月21日の組合声明で危惧したとおり日本大学の信用は地に落ちるばかりであり、大学、付属校の存続にも関わりかねない。そこで私たち教職員組合文理学部支部は、同声明での主張を踏まえ、以下を表明する。

1.法人本部に対して以下を求める。

(1)事態を混迷させた責任を明示するべく理事長が記者会見を開き、被害者はもとより関西学院大学アメフトチームやアメフト界、社会全般、さらに本学学生・教職員に謝罪し、危険タックル事件及び大学の不適切な事後措置に対して再発防止、抜本的改革を明言すること。

(2)責任ある立場の理事会及び法人本部の人事刷新を図るとともに、法人本部組織改革の工程表を公表すること。

(3)危険タックル問題の経緯解明と再発防止のため、理事会の意向を「忖度」することのない公正な第三者独立委員会を立ち上げて、どこに問題があったかの徹底究明を開始させること。

 7月には各学部がオープンキャンパスの実施を迎える。それまでに社会からの信用回復について有効な手立てを講じないかぎり、教職員は受験生やその保護者からの問い合わせに真摯に応答することもあたわず、ひいては入試に向けて壊滅的な影響が表れる可能性が現実のものとなりかねない。上記事項は、7月初旬までに措置が講じられるべきである。ただし第三者委員会の結論は拙速を避けるべきであるので、その判断は第三者委員会にゆだねる。

2.マスコミ各社に対して以下を要望する。

 本日発売の「週刊文春」には、日本大学理事会の数々の問題点が挙げられている。ここに記された理事会周辺をめぐる内容のいくつかはこれまでも巷間で囁かれており耳新しい内容ではなかった。もしこれが事実であるとするなら、それが放置・容認されてきたこと自体が、私たち教職員の責任を含め、由々しい問題である。ただし私たち教職員には調査能力に限界があるのもたしかだ。

 一方学生のあいだでは連日の騒動を受けて動揺が拡がっている。マスコミ各社には、一過性のセンセーションを求め、たとえばキャンパス近辺で学生たちにマイクを突きつけるよりも、ジャーナリズムの本義にもとづき、プロフェッショナルの力量で日本大学の構造的問題を徹底的に追及していただきたい。

3.最後に日本大学教職員に対して以下を提起する。

 今回の一連の事態に対して、在学中の学生・生徒、その保護者がいかなる心情で対しているか想像をめぐらすべきである。法人本部が適切な対応能力を欠いている以上、この非常事態のなかで毅然とした態度をとれるのは個々の教職員以外にない。社会に対する信用回復はもちろん、今回の件でもっとも矢面に立たされているアメフト部を含む学生・生徒・保護者・卒業生など日大にゆかりある人々の組織構成員に対する信頼をつなぎとめ、ひいては自分たちの職場を守るためにも、いまこそ一致して意思表示をするべき時であると、ご理解いただきたい。

 

以上