史上初の日本人ペア対決となった女子ダブルス決勝で、新星ペア「ナガマツ」が快挙を遂げた。初出場の世界ランク9位の永原和可那(22)、松本麻佑(22=北都銀行)組が、昨年銀メダルで同2位の福島由紀(25)、広田彩花(24=岐阜トリッキーパンダース)組に2-1で逆転勝ちし、この種目で77年の第1回大会栂野尾悦子、植野恵美子組以来となる日本勢41年ぶりの金メダルを獲得した。

 表彰台で金メダルをかけられた2人は緊張した表情でぼうぜんとしていた。初タイトルがいきなり世界選手権金メダル。あまりの出来事に永原は「初めて勝ってうれし涙を流せた。正直、今でも優勝した実感がない」と初々しく話した。

 松本が177センチ、永原が170センチという世界屈指の長身ペア。日本代表朴監督が「今まで日本にはいなかった」と言うように、ラリーで粘る日本女子の正統とは一線を画す、攻撃力が武器だ。この日もそのスタイルを貫いた。最終ゲーム。いったん18-20とマッチポイントを取られたが、粘り強くレシーブし、持ち前の強打で攻める。21-20と逆に王手を奪った時にはあと1点と思わず、「ここから3点を取ろうと話した」(松本)と冷静だった。何度もスマッシュを打ちこみ、最後はアウトを誘って、勝負を決めた。

 結成5年目。ダブルスの経験豊富な永原と、シングルス志向の松本。初めて組んだ時は「全然駄目。遠慮しながら何も言わず、相手をうかがいながらのプレーが多かった」と松本。次第に会話を増やし、親密度を増すと今年1月にA代表初選出。繰り返される国内合宿で高橋、松友組、福島、広田組ら世界トップの先輩と打ち合い、勝負勘を磨く。合宿中には、代表の中島コーチに唯一1時間の居残り練習を課され、足りない技術を磨いた。

 今大会の女子ダブルスは日本勢が4強のうち3組を占めたが、東京オリンピック(五輪)に出られるのは最大2組。世界一となっても永原は「ここで満足したら終わり」と気を引き締める。松本も「五輪に向けて大きな1歩を踏み出せた。これからどう勝ちきっていくか話し合っていきたい」と松本。2人には伸びしろしかない。【高場泉穂】

 ◆永原和可那(ながはら・わかな)1996年(平8)1月9日生まれ、北海道出身。青森山田高時代の13年高校総体女子ダブルス優勝。松本とのペアで17年全日本総合選手権3位。休日の過ごし方は買い物と温泉。アピールポイントは「ほっぺた」。170センチ、61キロ。血液型B。

 ◆松本麻佑(まつもと・まゆ)1995年(平7)8月7日生まれ、北海道出身。北海道・とわの森三愛高卒。永原とペアを組んで17年カナダ・オープン優勝、今年7月のインドネシア・オープン準優勝。休日の過ごし方は睡眠とAAAのDVD鑑賞。177センチ、68キロ。血液型A。