女子平泳ぎの渡部香生子(21=早大)が2年ぶりに日本代表に復帰した。4日の壮行会では色紙に「勇気を与えられる選手」と記した。オリンピック(五輪)2度出場の天才スイマーが20年東京五輪での「三度目の正直」へ、東京からリスタートする。

 昨夏、世界選手権ブダペスト大会に「渡部香生子」の名前はなかった。けがもあって6年ぶりの代表落ち。中学生以来、日の丸をつけない夏になった。練習の合間に、友達と「お台場ウオーターパーク」に遊びに行った。ウオータースライダーがあり、夜はライトアップされて幻想的な光景が広がった。0秒01を争ういつものプールとは別世界だった。楽しくはあった。ただSNSで日本代表がブダペストで円陣を組む写真が目に入った。「私、何してんだろう」。離れてみて、代表の尊さが胸にしみた。

 15歳でロンドン五輪に出てから、常に結果を求められた。16年リオ五輪も不発。「結果を出さなきゃってそればかりだった」。挫折を経験した上で「また戻ってこられると、伸び悩んでいる人に知ってほしい。東京で精いっぱいやったと思える泳ぎがしたい」。15年世界選手権金メダリストが、再び歩み出す。【益田一弘】

 ◆渡部香生子(わたなべ・かなこ)1996年(平8)11月15日、東京都葛飾区生まれ。15歳で12年ロンドン五輪に出て、準決勝敗退。15年世界選手権は200メートル平泳ぎ優勝。金メダル候補で迎えた16年リオ五輪は再び準決勝で敗退。167センチ、61キロ。