日本レスリング協会は10日、前強化本部長の栄和人氏が女子でオリンピック(五輪)4連覇中の伊調馨(34=ALSOK)らに行ったパワーハラスメント問題で、福田富昭会長が伊調に直接、謝罪したと発表した。今月上旬に面会したとし、問題の謝罪と、再発防止に向けた取り組みなどについて説明した。福田会長は声明で「2度とこのようなことが起こらないよう、アスリートファーストの理念に立ち返り、伊調選手をはじめ全ての選手のサポートに全力でまい進する」と決意をつづった。

 謝罪を受け、この日、伊調も所属先を通じてコメントを発表した。「先日、福田会長と面談いたしました。その際、一連の出来事に関するおわびと今後の改善策について説明を頂いた。私もレスリングがより魅力的な競技として発展していけるよう、今後とも力を尽くしていきたい」と話した。

 今後の注目は伊調の復帰戦だ。16年リオデジャネイロ五輪後、実戦を離れているが、20年東京五輪を目指し、10月の全日本女子オープン選手権で復帰する意向をコメントで初めて明かした。「10月の出場に向けて、レベルを上げた練習に取り組んでいます」。前人未到の5連覇へ、女王がマットに戻ってくる。