全日本剣道連盟の居合道の段位、称号審査で、受験者が合格目的で審査員らに現金を渡す不正行為が慣例化していた問題を受け、連盟の中谷行道常任理事は17日、不正が横行した背景として、演武の出来栄えや居合道への取り組みなどを評価する審査は主観的な要素が占める割合が多いという特徴を挙げ「お金が介在する余地があった」と説明した。スポーツ庁の鈴木大地長官は「詳しい調査と、同様に段位を持つスポーツについても調べるよう指示した」と話した。

 審査員の氏名は受験者に知れ渡っており、事前の接触は容易な状況だった。さらに同じ審査員が長年継続するという構造的な問題もあり、「古流」と呼ばれる伝統的な流派の重鎮が「審査に強い影響力を及ぼしていた」実態もあったという。

 連盟は、審査員の氏名を当日まで秘匿することなどの再発防止策を講じたほか、講習会や大会での土産物授受の自粛も呼びかけた。中谷常任理事は「称号、段位というのは(連盟の)権威の源。金銭授受があったということは絶対許してはならない」と述べた。