世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が日本女子で初めて4大大会シングルス決勝に進む快挙を遂げた。前年準優勝で同14位のマディソン・キーズ(米国)を6-2、6-4で破った。男女を通じて日本初となる4大大会シングルス優勝を懸け、日本時間9日午前5時からの決勝で元世界女王のセリーナ・ウィリアムズ(米国)と対戦する。

大坂の快進撃を支えるのは2人のコーチだ。専属のサーシャ・バイン氏(33)は、07年からS・ウィリアムズの練習相手を8年務めた。昨年末、大坂の所属事務所IMGから、コーチ就任の依頼を受けた。「最初は、彼女のことを少し困ったちゃんだと勝手に思っていた。下を向いて、目を見ない」。

しかし、話をするようになって「ただ、すごいシャイなんだと分かった。誤解していた」。練習を始めれば「闘争心の塊で、強打の持ち主。ただ、それを扱うすべを知らなかっただけ」。そこで、少しだけ魔法をかけた。「全てを強打する必要はない。君の球なら、緩く打っても決まる」。2人の間では「我慢」がキーワードになった。

日本テニス協会女子代表コーチの吉川真司氏(40)は、13年9月の東レ・パンパシフィック・オープンで初めてプレーを見た。予選1回戦で敗れたが、すぐに「すごい才能」と強化本部に報告。それ以来、大坂担当として支えてきた。日米両国籍を持つ大坂は、無名の時からの支援に日本代表を選択。吉川氏は「驚くほど精神的に成長した。大人になった」と快進撃を喜んだ。