日本ボクシング連盟が透明性を軸として再出発を切ることになった。

8日に都内で臨時総会を開いて新理事を選出。その後の理事会で内田貞信氏(45)の新会長就任が決定した。8月に辞任した山根明前会長下では、疑惑が噴出。競技への信頼性が著しく損なわれる現状の早期解決へ。プロの20年東京オリンピック(五輪)出場解禁と、不正判定が疑われた審判の公平なシステム作りなどに乗りだし、公益財団法人化を目指していく。

独裁での不正、隠蔽(いんぺい)などが疑われた前政権からの大転換に出る。理事会で満場一致で新トップに選出された内田氏が、就任会見で宣言した。「選手ファーストで透明性のある団体を作っていきたい。公益法人化を目指して頑張ります」。不透明過ぎた前体制から一新し、現在の一般社団法人から、多くの五輪競技団体のスタンダードである公益法人へ、組織を生まれ変わらせる。

同氏は近大OBで、宮崎県連の会長を務めている。同県屈指の実業家で、「再興する会」を主導してきた。連盟の役職に就いたことはない。この日は総会で選ばれた新理事26人の中での推薦でトップに決まった。まずは、各都道府県の理事も連盟に意見を投書できるシステム構築に乗り出す。

透明化の意味では、即時プロ問題に取り組む。これまでは明確な理由もなく、プロ経験者のアマチュア選手登録が許可されなかった。国際連盟(AIBA)が目指すプロの五輪参戦の方向性は無視され、アマでの五輪を目指す世界主要4団体制覇の高山が、日本スポーツ仲裁機構に訴える事態に発展した。今後のプロ解禁へ、既に日本プロボクシング協会の渡辺会長と非公式に協議している。

また、「山根判定」と言われた不可解判定の是正も図る。山根氏が介入していたとされる審判事項に、新会長は一切関与しない。新たな審判委員長の元で、公正性を担保する。菊池副会長は「(山根氏の)パワーハラスメントがない。それが一番」と説明した。

総会では新理事の人選に少数の異論があったが、最終的には選手第一でまとまった。今後、全国9区の連盟から理事が追加で選ばれ、山根色は一掃される。任期は、慣例で臨時総会が開かれる来年2月までの案、5月の定期総会までの案もあり、その後も継続体制で進むかも含めて検討となる。暫定としてではなく、抜本的で早急な改革を進める。【阿部健吾】