世界ランキング26位のセリーナ・ウィリアムズ(36=米国)は、2-6、4-6で同19位の大坂なおみ(20=日清食品)に敗れ、4年ぶり7度目の全米オープン制覇はならなかった。

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鬼の形相で、セリーナが主審にくってかかった。人さし指を主審につきたて、何度も「わたしから得点を奪った。わたしに謝れ」と、ののしった。決定的なひと言が飛び出したのが、第2セット、大坂が4-3とリードしたチェンジコートの時だった。

セリーナは「この盗人」と吐き捨てた。これに「言葉の乱用」を適用され、この試合3度目の警告。規則で自動的にセリーナは決定的な1ゲームを失い、会場が騒然とした。セリーナは涙で、大会レフェリーに訴えた。2万人を超える観客全員が、主審にブーイングを浴びせ始めた。

きっかけは、第2セットの第2ゲームだった。大坂のサーブで40-15の時に、セリーナはコーチから指導を受けたとして「コーチング」の違反で最初の警告を科せられた。続く第5ゲームでブレークバックされると、ラケットをたたき折り、「ラケットの乱用」で2度目の警告。1ポイントを失っていた。

表彰式では、主審や主催の全米テニス協会の役員に向けたブーイングが止まらず。さすがにセリーナも、大坂を気遣い「彼女は立派なチャンピオン。これ以上のブーイングは止めて」と懇願した。

しかし、試合後の会見では、「わたしはやましいことは1度もしていない」と、コーチングを否定。しかし、大会を放送している地元TV局の質問に対し、セリーナのコーチは、コーチングを認めたという。

大坂は、ただ巻き込まれただけで、全く非はない。また、大坂の優勝が色あせることもない。しかし、4大大会初の日本人優勝は、セリーナと主審との口論で、後味の悪いものになった。