日本体操協会は10日、都内で臨時理事会を開き、塚原光男副会長(70)と塚原千恵子女子強化本部長(71)の職務一時停止を決めた。2人の宮川紗江選手(19)へのパワハラ問題に関する第三者委員会(岩井重一委員長)の調査結果が、10月25日の世界選手権(ドーハ)開幕に間に合わないため、塚原本部長は同選手権で指揮を執らない。代行は今後決める。この決定は同日、塚原副会長、同本部長にも伝えられた。

臨時理事会には塚原副会長、同本部長を除いた17人の理事中、12人が出席して行われた。終了後、具志堅幸司副会長、山本宜史専務理事、竹田幸夫監事が取材に応じ、一連の騒動について深々と頭を下げて謝罪した。

2人の職務一時停止について山本専務理事は「第三者委員会からの調査報告書が提出され、その結果に基づき、本件への処置、対応について理事会で決定するまでの間」と説明。女子強化本部長の代行等については、近日中に発表する予定とし、「パワハラの事実確認はできない状況ですが、世界選手権をチームで戦い抜く日本代表候補選手、指導者の練習環境を考慮して導いた結論」とした。

第三者委員会のメンバーが発表になった7日、岩井委員長は協会側が2週間を目指すとした調査期間を否定し、「徹底的に解明するので、1カ月半、2カ月かかることもありうる」と明言。その方針を重視した協会側が女子代表が現在の強化体制下で世界選手権に臨むのは不可能と判断した。

東京オリンピックの出場枠を争う大会で強化トップが不在となるが、具志堅幸司副会長は「国民や選手が納得するかという物差しで考えた。これだけの大きな騒ぎになったので、継続はあり得ない」と述べた。一部代表コーチからのヒアリングで現場の動揺を把握していることも明かした。

また、塚原副会長が一部メディアの取材に「これは協会の権力闘争」と主張していることについて、同じ副会長職として「まったく理解できない。論点がずれている。今は宮川選手へのパワハラに関して調査しようとしている」と一蹴。千恵子本部長が自らの「うみを出す」発言に抗議メールを送ったとされる点についても「一切受け取っていない」と断言した。さらに2人のメディアを通じての発言に山本専務理事は「こちら側にも(前もって)お話いただきたい」と不快感を示した。