平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)銀メダリストの宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が104・15点と貫禄の演技を披露し、トップに立った。新ルール適用で今季前に得点記録がリセットされたが、それでも自己ベスト104・87点に迫る好演技。昨季世界選手権5位の友野一希(20=同大)は75・47点の5位となった。

新ルールを生かし、宇野が今季初戦で輝いた。新しいSPは「天国への階段」。濃いピンクと黒の衣装で登場した五輪銀メダリストは、冒頭で代名詞の4回転フリップを成功させた。出来栄え点(GOE)は3・74点。昨季までなら7段階(+3~-3)だったのが、新ルールでは11段階(+5~-5)となっており、昨季までの限界である3点の加点をいきなり超えた。

続く4回転-2回転の連続トーループも決め、演技後半にはトリプルアクセル(3回転半)にも成功。味のある音楽に乗って、丁寧に滑りきり「試合前に靴ひもを強く結びすぎて、滑った直後は『どうなるかな』って思ったんですけれど、ちゃんと練習してきたものが出せて良かった」と演技直後は笑顔で軽く右拳を振った。

1年前もロンバルディア杯で自己最高となる104・87点をマーク。だが、今回は充実度が違う。宇野がいつもこだわるのは、練習での取り組みがどれだけ試合に生かせたか。表情も明るい男は、こう振り返る。

「去年も一応ジャンプを全部降りたけれど、ただ、そこまでうれしくなかった。それは、練習があまりできていない中で(試合の演技が)できてしまったから。それが今年は練習通りが出せたんじゃないかな。『ちょっとはうれしいかな』って思います」

オフシーズンは体力強化に取り組み、まだSPの段階だが、手応えはあり。「フリーが終わっていないので、大きな声では何も言えないけれど、体力面に不安はないです」としながら「これでフリー終わって疲れていたらすごく恥ずかしいので、今は何も言えないです」と笑って付け加えた。

フリーは中1日で15日に行われる。「決して完璧な演技と言えるものじゃなかったので、まだまだのびしろはある。シーズン通して、これぐらいの演技をちゃんと頻繁にできたら、それはそれでいいと思っています」。満足することなく、次の課題に目を向ける。