キングにキレが戻ってきた。内村航平(29=リンガーハット)が、世界選手権(10月25日開幕、ドーハ)前最後の実戦で6種目合計87・750点の高得点をマークし、3年ぶり5度目の優勝を果たした。

今大会は世界選手権を見据え跳馬、あん馬、平行棒、つり輪の4種目で5月のNHK杯よりDスコア(難度点)を計1点上げた演技を実施した。昨年の世界選手権では跳馬の予選で大技「リ・シャオペン」を跳び、けがをして途中棄権。以来、より難度の低い「シューフェルト」を実施してきたが、6月から14年世界選手権以来となる大技「ヨー2」を準備してきた。この日は足はやや乱れたものの着地し「久しぶりに高難度の技ができたうれしさがある」と笑顔をみせた。

点数は十分世界の金メダルを狙えるレベルだが、それより「体のキレが増した」と、実感できた喜びが大きかった。世界王者への返り咲きと、団体優勝へ、大きな手応えをつかんだ。【高場泉穂】