東京オリンピック(五輪)で実施される複合で、日本勢は男女ともメダルを逃した。金メダル候補だった楢崎智亜(22=TEAM au)はスピードでフライングした影響が響き、ボルダリングでも挽回できずに5位に終わった。男子は原田海(19=神奈川大)が4位、藤井快(25)が6位。女子の野口啓代(29)は4位、野中生萌(21=いずれもTEAM au)が5位だった。

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東京五輪に向けて、ここが新しいスタートだと思う。男子は楢崎、女子は野口、野中がフライングをしてしまったことが流れを大きく変えた。スピードは安定した成績を残すことがまずは必要になってくる。

その上で、日本選手はリードのトップ選手との実力が相当離れているなと思う。男子はシューベルトやオンドラ、女子はガルンブレト、ピルズのリードを得意とする選手に勝つには、スピードとボルダリングで勝っておかないと、今のところ挽回のチャンスはない。リードに関しても、勝負どころが分かっていない印象だった。最後の最後であと一押しできそうだと思う。

今後は3種目総合的にやっていくべきだと思った。周りがサポートしながら、選手は細かな戦略はそこまで意識せず、楽しみながらひと回りもふた回りも成長して欲しい。初めて世界選手権で複合が行われ、疲労もたまっている中、複合のテンポよく進んでいく流れを知ることができたのは収穫だろう。(日刊スポーツ評論家・安間佐千氏)