16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)男子60キロ級銅メダルの高藤直寿(25=パーク24)が2年連続3度目の優勝を果たした。準決勝では世界ランキング1位の永山竜樹(22=東海大)を下し20年東京五輪代表へ大きく前進した。

高藤はムシビドバゼ(ロシア)との決勝で小内刈りで技ありを奪い、優勢勝ち。優勝が決まると、深々と一礼したが、笑顔はなかった。「圧倒的な力で勝てなかったのが悔しい。(世界王者に与えられる)赤ゼッケンは守りたかった」と振り返った。

新たな「減量法」が勝利に導いた。通常は体重が68キロ前後あり、以前は3週間前から急激に落とした。しかし、昨年12月のグランドスラム(GS)東京大会決勝で、体がつったことを機に意識改革した。本番まで約9カ月の準備期間があったため、改めて栄養学を学び、嫌いな野菜を食べるなど偏った食生活を改善した。野菜は子どものように「ごまかして」鍋やスープにするなど工夫して口にした。

年齢を重ねて体重が落ちにくくなり、体と真剣に向き合い「どうしたら最大限の力が出せるか」を考えた。7月のグランプリ・ザグレブ大会前には、1人で「体重調整合宿」を2週間敢行。練習メニューを自身で決めて、毎日、管理栄養士に食事の写真を送ってアドバイスをもらった。前日計量では59・9キロと完璧だった。

今大会前にも同合宿を実施し、19日の前日調整では60・4キロ。減量のストレスもなく、心身ともに余裕を持って試合に臨めた。20年東京五輪に向けて「準備が結果につながる」と言う。本番はあくまでも2年後だ。「世界選手権は普通の国際大会と変わらない。金メダルを取るためにも頭1つ抜けてる存在にならないといけない」。五輪の借りは五輪で返す-。2連覇を達成しても25歳の世界王者は隙を見せない。【峯岸佑樹】

◆高藤直寿(たかとう・なおひさ)1993年(平5)5月30日、埼玉県生まれ。栃木県で育ち、神奈川・東海大相模中、高-東海大。11年世界ジュニア選手権制覇。13年、17年世界選手権優勝。リオ五輪銅メダル。18年全日本選手権出場。世界ランキング4位。得意技はともえ投げと内股。趣味は愛犬の散歩。160センチ。