2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの大会関連経費の総額が3兆円を超える可能性があることが4日、分かった。参議院の要請で会計検査院が調べ同日公表した報告書で、13~17年度に国が支出した費用を約8011億円と指摘。これまで国は関連経費を公表してこなかった。

運営を担う大会組織委員会は、大会経費を1兆3500億円としてきた。この中には国の負担分1500億円も含まれるため、今回新たに判明した国の支出は約6500億円となる。

東京都はこれとは別に約8100億円(施設のバリアフリー化、ボランティア育成費用など)の関連経費を今年1月に公表。これに大会予備費、最大3000億円を足すと大会関連経費の総額は約3兆1100億円となる。18~20年度の国の関連経費は含まれていないため、さらに増加する可能性がある。

組織委は大会に直接関係がある経費を総額として公表してきたが、検査院は各省庁の関連経費を調べた。国は17年5月に公表した報告書で15分野計70施策を五輪関連として整理。13~17年度に286事業が実施され、支出額が計約8011億円となった。

中には事業未実施なもの、関連性が薄いものも散見された。国は予算規模を公表してこなかったが、その理由を政府関係者は「オリパラを契機とし、まとめて実施しようとなった通常の行政サービスもある。オリパラがなくとも順次実施しているもの」と説明した。

組織委の森喜朗会長は「暑さ対策、顔認証、インバウンド促進は本来、一般行政の仕事。五輪と無関係ではないけれど、直接経費ではないのでは」と話した。武藤敏郎事務総長は「一般行政が大会を契機としてかかっているわけで、大会予算という考えとは違う」と主張した。検査院は国と組織委に、施策と大会との関連性を精査して経費の規模の全体像を示すよう求めた。【三須一紀】