23歳の細田采花(あやか、関大)が自身初となるトリプルアクセル(3回転半)を成功させ、56・48点で3位発進となった。

6分間練習で3回転半を成功させると、冒頭、思い切ったジャンプで1・87点の出来栄え点(GOE)を得た。これまでにも競技会で着氷したことがあったが、GOEは減点。国際スケート連盟非公認大会ながら大技を決め「『来た!』と思いました。うれしすぎます」と笑顔を見せた。

関大では平昌五輪4位の宮原知子、3回転半ジャンパーでシニア1年目の紀平梨花らと同じ、浜田美栄コーチから指導を受ける。大学4年だった16年12月の全日本選手権で、1度は引退を決意。続く国体を終えると仲間から花束まで受け取ったが、17年2月に紀平と遊びで3回転半を練習していると、思わぬ形で初成功が待っていた。

「『あっ、降りちゃった』って感じで…」

悩んだ末に現役続行を決意。昨季の全日本選手権では、3回転半を構成に入れていなかったショートプログラム(SP)の低迷でフリーに進めず、挑戦することすらできなかった。

「今年も(3回転半を成功させたいという)モチベーションは一緒です。ひとつ違うのは、全日本でトリプルアクセルを降りたい」

今季はSPから組み込んだ大技。23歳での競技会初成功に、リンク際の浜田コーチも思わず喜びの声を上げていた。現役続行を決めてから数カ月経過した17年夏、思いを込めてこう言った。

「長い間スケートをしていたら、年下に抜かれたり、いろいろある。でも『最後まで頑張っていたら跳べるんだよ』って、そういうのを見せたいんです」

次は、もっと大きな舞台でその可能性を証明する。

◆細田采花(ほそだ・あやか)1995年(平7)2月3日、大阪・吹田市生まれ。小3からスケートを始め、高1から宮原知子らと同じ浜田美栄コーチの指導を受ける。「浜田組」最年長で姉貴分。12年に全日本選手権へ初出場し20位。プロ野球阪神の金本監督の大ファンで「現役時代から根性が好き。競技にいちずな人が好きです」。155センチ。