大坂なおみがMVP候補だ! 女子テニスツアーを統括するWTAは、10日までに今季の年間表彰選手の候補を発表。日本人初の4大大会優勝で全米を制覇した世界4位の大坂なおみ(20=日清食品)が、最優秀選手の候補5人にノミネートされた。受賞すれば、アジア選手初の快挙となる。表彰式は、ツアー最終戦WTAファイナルズが開催されるシンガポールで19日に行われる。大坂は、16年に最優秀新人賞を日本女子として初めて受賞している。

大坂に、新たな世界の勲章が加わった。日本女子として初めてのMVP候補入りだ。23度の4大大会優勝を誇るS・ウィリアムズ(米国)を破っての全米優勝はインパクト十分。世界の女子テニス界をリードする4人の候補と比べても全く遜色がない。

過去の受賞者には、ナブラチロワ(米国)、グラフ(ドイツ)、ヒンギス(スイス)ら歴代の女王の名が連なる。そのきらびやかな歴史に、大坂が名を刻めるか。投票は、各国のテニス担当記者や関係者によって行われる。77年に始まったMVP表彰で、年末最終世界1位とMVPが一致したのは41回中、28回だけ。残りの13回は異なった選手が受賞している。

特に00年以降は18回中10回が異なっており女子の戦国時代を表している。この2年も4大大会を制したのはすべて異なった選手で8人。その中でMVPを受賞するには強烈なインパクトが必要だ。

それを考えると本命がハレプ、対抗が大坂になるだろう。ハレプは現世界1位で、年間46勝11敗は最も安定している。全仏で悲願の4大大会初優勝を飾った。ただ全米1回戦負けなど、8月以降、ケガで全く勝てないのは印象が悪い。

大坂は、インパクトという点ではハレプを上回る。あの激闘の全米決勝でS・ウィリアムズを破ったのは大きな衝撃を与えた。その後も東レパンパシフィックで準優勝、武漢でも4強と、ハレプと異なり8月以降の印象はいい。3月のBNPパリバオープンのツアー初優勝も印象はいい。

3番手はケルバーか。ウィンブルドン決勝でS・ウィリアムズを破っての優勝はポイントが高い。ハレプと大坂の一騎打ちが濃厚な投票は明日12日が締め切り。初出場がかなった最終戦の舞台で、大坂のMVP受賞なるかに注目だ。【吉松忠弘】

◆WTA年間表彰 年間表彰は77年に創設され、年間最優秀選手賞以外に、年間最優秀ダブルスペア、最優秀新人賞など10部門ある。MVPの最多優勝者は8度のグラフ(ドイツ)。87~90年、93~96年に受賞している。大坂以外の日本女子は92年に伊達公子が最も躍進した選手賞、99年に杉山愛がスポーツマンシップ賞を受賞している。