16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)で4連覇を達成して以来、休養していた伊調馨(34=ALSOK)が、788日ぶりの実戦復帰を優勝で飾った。57キロ級で3試合に圧勝。日本協会の強化本部長だった栄和人氏から受けたパワハラ問題を経て、今春から日体大で本格練習を開始した。20年東京五輪挑戦については「100%目指せる環境が整ってから」と明言を避けたが、個人種目で史上初の5連覇へ第1関門を突破した。

◆新階級での今後 伊調はこの日初めて、東京五輪階級の57キロ級で試合に臨んだ。アテネ五輪から3大会連続で63キロ級、リオ五輪は58キロ級だったが、約2年2カ月のブランクで筋肉が落ちてしまった。無理な増量や減量で体に負担をかけるよりは、負担の少ない現状の体重で戦った方が望ましいと考えたのだろう。西口強化本部長は「彼女が日本で点数を取られることは、これまであまりなかった。強いのは間違いないが、まだ勘が戻りきっていない。最後、足がもつれていた。試合を経験すればそれは戻ってくるだろう」と新階級でも一定の評価を下した。

57キロ級には強力なライバルがいる。リオ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子は、同級での東京五輪出場を見据えている。西口強化本部長が「2人の世界チャンピオンがいるのはもったいない」と言う激戦区だ。さらに今月の世界選手権(ハンガリー)57キロ級代表の坂上嘉津季もおり、五輪代表への道も険しい。