GPデビュー戦となったシニア1年目の紀平梨花(16=関大KFSC)が69・59点で5位発進した。

宮原知子(20=関大)が76・08点で2位。三原舞依(19=シスメックス)は70・38点で3位。エリザベータ・トゥクタミシェワ(21=ロシア)が76・17点で首位に立った。

4番滑走で登場すると、冒頭には女子世界7人目の成功者となっているトリプルアクセル(3回転半)。踏み切りが早くなり、転倒したものの「他の部分では(転倒した)トリプルアクセルのことを考えず、思うように演技できた」とフリップ-トーループの連続3回転、3回転ルッツを成功させた。

演技前には平昌五輪4位の宮原知子(関大)らを指導する浜田美栄コーチに「見ている方に幸せに思ってもらえるような、喜んでもらえるような演技があるよ」と送り出された。超満員の観衆に囲まれ「ジュニアの大会よりたくさん入っていて、滑っている時間が楽しかった。初めて感じたようなものだった。だからこそ『もっといい演技をしないといけない』と思いました」。演技が終わると同時に、頭を10日のフリーへと切り替えた。

紀平は兵庫・西宮市生まれで、1歳9カ月から通った幼稚園では跳び箱8段を跳び、逆立ちで園内を歩いた。体脂肪率は1桁台といい、幼少期から培った運動能力が16歳を支えている。

性格は穏やかだが、中身はもちろん関西人。家の中では当たり前のように「何言ってんねん!」とツッコミを入れる一面もある。4歳年上の姉について4歳の時に、神戸市内のスケート教室に初参加。3カ月のカリキュラムをこなしていると、1カ月が経過した頃に3万円ほどのスケート靴を購入してもらった。「すごく滑りやすくて、楽しい!」。そこからフィギュアの世界へとのめり込んだ。

武器は憧れる浅田真央と同じトリプルアクセル(3回転半)。女子において世界7人目の3回転半成功者となった16年9月、ジュニアグランプリ(GP)シリーズ第5戦スロベニア大会から帰国直後に「トリプルアクセルはずっと『真央ちゃんがうまい!』って思っていました」と初々しく笑った。女子初の成功者となった伊藤みどりの「高さを目指したい」と、今季は筋力トレーニングで体作りにもさらに着手。日本女子が脈々と受け継いできた技術を取り入れ、磨き続ける大技でシニアの荒波へと飛び込んだ。

「明日の朝の練習でしっかりと確認して、不安がないようにしたい。自己ベストを出したい」

GPデビュー戦での優勝となれば、日本勢初。冷静な自己分析を、次の演技につなげる。