女子組手50キロ級で世界ランキング2位の宮原美穂(22=帝京大)が初優勝を飾った。同1位で14年大会優勝者のセラップ(トルコ)に3-1で快勝し、悲願だった世界一の座に就いた。

表彰台のてっぺんに立った宮原の胸で金メダルが輝いた。それに負けないピッカピカの笑顔。日本女子軽量級のホープが、ついに世界の頂点に立った。2大会前の女王セラップに鮮やかな裏回し蹴りを決めて快勝。「うれしい。2年間、悔しい思いをしてきて、気持ちだけは強く持ってやってきました」。前回16年大会、17年ワールドゲームズは銀メダルに終わっていただけにコメントも弾んだ。

今年、一気にブレークした。世界を転戦する最高峰のプレミアリーグで3勝を挙げ、アジア選手権、世界学生も制した。ただ、勝っても試合内容には納得できなかった。10月のプレミア東京大会で優勝後、帝京大・香川政夫師範からこう指摘された。「武道としての空手をしなさい」。

目が覚めた。「点を取るより、取られたくない戦いをしていた」。世界レベルで勝てるようになった分、負けたくないという思いも強くなり、積極性をなくしていた自分に気がついた。邪念を払い、今大会は前に出て1本の突き、蹴りに集中した。相手に研究されて接戦が続いたが、攻める姿勢だけは失わずに5試合を戦い抜いた。荒賀、植草の男女エースが連覇を逃す中、宮原が組手勢唯一の金メダルを確保し、東京オリンピックへ期待を膨らませた。