ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(46=土屋ホーム)ら男子日本代表が14日、W杯出場のため、欧州遠征に出発した。葛西は89年の本格的な世界デビューから実に30年目と、長きにわたり世界トップで飛び続けるまさにレジェンド。世界最多8度目の平昌冬季五輪(ピョンチャンオリンピック)を終え、22年北京五輪へ新たな戦いがスタートする。「長いですね。意識していないけど、言われれば、良し、またやってやろうと思う」とたぎる思いを吐露する。

今夏は調子が上がらず成績を出せないでいる。若手の台頭もあり、17日から開幕するW杯の前半3戦で結果を出せないと、国内に残る他選手と入れ替えられる。代表生き残りをかけたまさにサバイバル戦だが、現実を冷静に受け止めている。「今年は今までに感じたことのない感覚。前までは焦っていたが、今はダメならすぐ変えてくれと宮平ヘッドコーチには言っている。次の五輪までまだ3年半ある」と目先より、自身のジャンプと向き合うことを優先させる。

平昌五輪シーズンから助走路でスピードが出ないことを改善点に挙げてきたが、今夏はそこをクリアした。今は飛び出しでスリップすることを修正点に挙げ取り組む。山形・蔵王で行った5日間の直前合宿では15本を確かめるように飛んだ。「力をうまく伝えられていない。テークオフ(飛び出し)が決まれば若手に負けねぇよって言うか、世界のトップレベルまでいける」と自信をのぞかせる。

理想がある。銀メダルを獲得した好調だったソチ五輪のビデオを見て改善に取り組んでいるが、そのジャンプでさえ「2回目は失敗している」と振り返る。「絶好調のジャンプは小、中学生以来ない。あの感覚をもう1度味わいたい」。究極のジャンプを追い求め、レジェンドはあくなき挑戦を続けていく。