スピードスケートのワールドカップ(W杯)開幕戦、帯広大会が今日16日、帯広・明治北海道十勝オーバルで開幕する。平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)で金メダル2個の高木菜那(26=日本電産サンキョー)と金、銀、銅を1つずつ獲得した妹美帆(24=日体大助手、ともに幕別町出身)にとっては凱旋(がいせん)レースとなる。第1日に行われる女子団体追い抜きは2人が中心となり同五輪で金メダル。地元ファンに世界一の滑りを披露する。

最速の高木姉妹が帰ってきた。メダルを量産した平昌五輪から約9カ月。初めての地元の公式戦はW杯、これ以上にない舞台となった。「海外の選手が(日本に)集まってくるので、国内の開幕戦と同じような気持ち。不安や楽しみがあります」。妹美帆は静かに闘志を燃やした。

感謝の気持ちで氷上に立つ。明治北海道十勝オーバルは9月6日未明の北海道胆振東部地震による停電の影響で氷が解け、リンクが利用できない状況となった。復旧作業が急ピッチで進められ、予定通りの開催となった。「いろんな方に支えてもらって自分たちはスケートができると改めて実感できた」と姉菜那。慣れ親しんだリンクで国際大会ができることは大きい。あとは思いをリンクで表現するだけだ。

世界一の技術を披露する。平昌五輪の女子団体追い抜きは2人が中心となり金メダルを獲得。この日の公式練習も優勝メンバーの佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)を加えて入念にリンクを確認した。昨季はW杯で世界新記録を3連発。五輪後、メンバーの1人、菊池彩花(31)が引退した。「今シーズンになって自分たちがどういう形になっているか試すのは初めて。3人でできるレースをしっかりしたい」と菜那。国内最高記録を狙うのはもちろん、22年北京五輪に向けた再出発の場として気を引き締めて臨む。

W杯の帯広開催は4年ぶりとなる。ソチ五輪明けのシーズンだった前回、2人は表彰台に及ばなかった。だが今回は違う。「自分は淡々とやるべきことをやっていく気持ちでいる」と美帆。1回りも2回りも大きくなった姿を見せる。【西塚祐司】