フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦ロシア杯で男子3位に入った友野一希(20=同大)が20日、帰国した。シニア2年目で初めてのGPシリーズ表彰台。フリー一夜明けの取材は表彰式前だったため、この日あらためて大阪・伊丹空港で対応し「表彰台に上がって、自分の位置を認識できた」と感慨深げに振り返った。

表彰式の右隣には、優勝した羽生結弦(23=ANA)。羽生はフリー前の公式練習で右足首を痛めたため、松葉づえにスニーカーだった。「辛そうだったので…」と王者の手助けをすると同時に「本当に彼と一緒に表彰台に乗れたのが光栄でした」と喜びの感情があふれたという。

羽生のフリーの演技は「すぐに靴を脱いで、モニターに食いつくように見た」。憧れの先輩の一挙手一投足を見つめ「(すごさは)言葉に表せない。技術はもちろんですが、強い選手。メンタル面も何から何まで圧倒的で、強いからこそ、あれだけの演技ができる。会場の雰囲気もがらっと変わるので、いい経験になりました」と目を輝かせた。

一方で胸の内にはプライドも宿る。3月の世界選手権では5位となり、2位の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)とともに、19年3月の世界選手権(埼玉)における男子3枠を勝ち取った。

「昨季は世界選手権に出て、3枠を勝ち取った。次はしっかりと全日本でメダルを取って、その枠を自分の力で勝ち取りたい」

次に控えるのは世界選手権につながる全日本選手権(12月21日開幕、大阪)。「(伸ばすべき部分は)全部。ジャンプの回転不足を出さないようにして、完成度を高めたい」。羽生について笑顔で語った姿は一転、引き締まった表情で空港を後にした。