日本フェンシング協会の太田雄貴会長(33)が、新たな切り口でフェンシング界を盛り上げる。全日本選手権個人戦開幕を翌日に控えた5日、東京・駒沢体育館で太田会長が会見。今年からの試みとして、各種目の決勝を東京・新宿区にある劇場「東京グローブ座」で行うなど話題性に富んだ大会にすると明かした。

6日の予選から8日の準決勝まで駒沢体育館で行うが9日決勝の舞台は東京グローブ座。ロンドンのグローブ座の構造を参考に設計されており普段は「シェークスピア」などの舞台公演で使われている。最高基準の音響や照明を最大活用する他、LEDライトを設置して雰囲気を高める。

さらに決勝に限り、選手と審判に時計型の心拍計を装着させる。心拍数を観客が見て分かるような仕掛けが会場内に施され、選手同士の駆け引きや心理状況などが読み取れる。「最高のエンターテインメントと、最高のアスリートの姿をフェンシングを通してみなさんに伝えていきたいと思っています」。また国内大会では初めてとなる優勝賞金も設定。金額は伏せたが「もらったらうれしい金額。最終的にもう1桁増えたらフェンシング界にとっていいことになる」と話した。

費用はかかったが、去年の6倍のスポンサー料の獲得に成功。唯一有料の決勝は、去年は1席平均1500円だったが、今年は2500~5500円に設定。それでも発売から40時間で約700席分が完売したといい「最高の大会にしたいと思います」と意気込んだ。

決勝の模様をインターネットテレビ局「AbemaTV」で放送。大会が生中継されるのも初めてのことだ。さまざまな初挑戦にも「『次、太田は何をしてくんだろう』と思われるような大会を続けていきたい」と笑った。【佐々木隆史】