平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)銀メダリストの宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が91・67点で2位につけた。昨年優勝のネーサン・チェン(19=米国)が92・99点で首位発進した。

冒頭の4回転フリップで着氷が乱れ氷上に左手をついたが、続く4回転と3回転の連続トーループを見事に決め、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も成功。ギターのリズムにあわせた繊細なステップで観客を沸かせた。試合後の会見では「とても良くなかった。日本で練習してきたことがあまり出せなかった」と浮かない表情。「明日(のフリー)までに切り替えて、よりよい演技をしたい」と前を向いた。

17年12月のGPファイナル(名古屋)。宇野は優勝したチェン(米国)にわずか0・50点及ばず、頂点を逃した。286・01点を記録し、チェンは286・51点。SPでは編曲によるタイムオーバーで、1点減点があった。わずかなミスがなければ上回ることができた結果だが、1年が経過した今も「点差が悔しいというよりも、自分のいい演技ができなかったというところに、悔しい思いがある」と丁寧に感情を説明する。

昨季はGPファイナルに続き、4大陸選手権、平昌五輪、世界選手権と全て銀メダル。安定した力を発揮する一方、頂点にあと1歩届かない。優勝を目指す気持ちは常に持ちながらも、その中で宇野のポリシーは変わらない。

「ベストな演技をすれば、結果はついてくる。そして、その結果がついてこなかったら、自分の実力不足ということになると思う。まずは自分の実力の最大を、発揮したいと思っています」

ベクトルはあくまでも自分に向く。SP前日の5日(同6日)には「ここ数年『完璧な演技というものがないな』というのを考えて、『もうそろそろ完璧な演技をしてみたい』と思っています」。そして「『皆さんの期待に応えたい』という気持ちもあるんですけれど。やはり最後は…。最後というよりも、自分のために頑張りたいなと思っています」と続けた。一夜明けるとフリーがやってくる。自他ともにスッキリとする演技の先に、待ちわびた頂点が見える。

【松本航】