ピョンチャンオリンピック(平昌五輪)銀メダリストでショートプログラム(SP)2位の宇野昌磨(20=トヨタ自動車)がフリー183・43点の合計275・10点で2年連続の2位となった。

冒頭の4回転サルコーと、4回転フリップも回転不足となったが、4回転トーループはきれいに着氷。その後は着氷は乱れながらも、NHK杯では1つしか決められなかった3つの連続技をそろえた。演技終了後は充実な表情を浮かべて「決していい演技ではなかった。試合が終わる度に同じような感想を言っているけど、今回こそはと挑んだけれどうまくいかなかった。(4回転)サルコーを失敗してから気持ちを切らさずにフリップ、トーループと跳べたのはよかったけれど、最後できればコンビネーションをきれいにおりたかった」と話した。

どん底から迎えた演技だった。前日6日(同7日)のSPは冒頭の4回転フリップで氷に左手をつくミス。周囲の評価に関係なく、宇野は「過去にないほど調子が悪かった」「すごくつらかった」「自分でも驚いた」と総括した。事前の公式練習で成功率の高い4回転トーループを転倒したのが原因で「本当にひどい練習で。正直、こんなにつまらないものがあるのか、本当に試合に久々に行きたくないと思った」と正直に明かした。

一夜明け、この日朝の練習では4回転フリップなどに成功。「明日の練習がどうなるか。もうちょっとは良くなっているといいんですけれど」と前夜に話した希望的観測を、できる限りの準備で理想に近づけた。

今大会は五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が故障のため欠場し、唯一の日本勢として臨んだ。大会前にはその空気感について「皆さんの期待に応えたいという気持ちもあるんですけれど」。その上で「やはり最後は…。自分のために頑張りたいなと思っています」と口にした。大きな重圧を背負いながら、自分と戦い、逃げ出すことなく滑り抜いた。