ショートプログラム(SP)首位発進の紀平梨花(16=関大KFSC)が233.12点で初優勝を飾った。05年浅田真央以来となるGPデビューシーズンでのファイナル制覇の快挙となった。SP2位で平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)金メダルのザギトワ(ロシア)は226.53点で2位。

演技後のインタビューでは「ファイナル優勝は思ってもみなかった。今年はどんな大きい試合でも気持ちをコントロールできた。(今日も)今やっていることを出せた。(優勝は)全然プレッシャーにならず、これから頑張ろうと。プレッシャーでなく自信になる」と堂々と話した。

冒頭から代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は着氷時に両手をついてしまったが、焦らない。続く3回転半からの連続ジャンプは成功させた。その後もリズミカルで切れある演技を続け、7本中6本のジャンプを決めた。

SPでは2位で平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)金メダルのザギトワ(ロシア)に4.58点差をつけていた。ジャンプで回転不足のあったザギトワとは対照的にSP同様、フリーでも平常心を保ち、会心の滑りをみせた。

自分を知ることでトリプルアクセル(3回転半)の高い成功率につなげてきた。キーワードは「筋肉」。16年9月に国際スケート連盟(ISU)公認大会で女子世界7人目となる成功を果たしてからも、ジュニア時代は試行錯誤の日々が続いた。安定性を求めていく過程で「最近は筋肉の調整の仕方が分かってきた」と1つのポイントを見つけた。

日常生活だけでなく、飛行機での移動、疲れの蓄積…。「調子が悪い日とかは結構筋肉の感じが違っていて、だるくて、タイミングが分からなくなったりする。逆に緩すぎて、力の入れ方がおかしくなったりとか、そういうところで苦戦していた。例えば、だるい時はほぐしを多めにして、次の日に備えていくようになりました」。運動の強度、ストレッチの方法などを考え、16歳は自分の体と常に向き合う。

世界の実力者6人が集ったGPファイナルを経験し、ここからはシーズン後半戦へと突入する。目の前のプログラムと並行して、4回転トーループやサルコーも練習中。シーズン前には「4回転を習得して、北京には合わせていけたらいいなと思っています」と誓った。平昌五輪出場は年齢制限でかなわず、常に意識するのは22年北京五輪。未完の大器が目指すゴールは、まだまだ先にある。