女子フルーレで東晟良(あずま・せら、19=日体大)が2連覇を達成した。今春から本格的に取り入れたウエートトレーニングで下半身を鍛え上げ、最年少優勝を狙った上野優佳(17)を14ー9で下した。決勝は20年東京オリンピック(五輪)を前にファンを開拓するため、普段は演劇などを上演する東京グローブ座で初開催された。照明や大型スクリーンなどを使い、これまでとはひと味違う演出で観客を楽しませた。

東京グローブ座の照明に照らされて、東はコーチを務めた姉莉央と抱き合った。試合開始から連続で得点を奪われて一時は2-6と苦しい展開となったが、8連続得点を奪うなど逆転に成功。「めっちゃうれしいです。2連覇できると思わなくて」と声を弾ませた。日本フェンシング協会の太田雄貴会長のアイデアにより、今大会はさまざまな演出が取り入れられた。大型スクリーンに試合中の選手の心拍数が表示され、試合開始直後は150前後だった東の心拍数も、試合後半には190前後まで上昇した。息をのむ攻防が続き、15点先取制の中、最後は時間切れという幕切れに「最後は突きたかったけど」と話した。

今春日体大の門をたたき、本格的にウエートトレーニングを始めた。当初はスクワットで棒だけを上げていたが、今では50キロの重りを難なく担ぐ。「トレーナーからお尻の筋肉が必要と言われた。今は動きが速くなったと言われる」と、この日も前後に俊敏な動きを見せて主導権を握った。

太田会長の斬新な演出により、入場券は発売後間もなく完売となり、会場はほぼ満席だった。東は20年東京五輪に向けて「この緊張感はプラスになった。出場して個人でも団体でも金メダルを取りたい」と意気込んだ。【佐々木隆史】