日本ボクシング連盟で使途不明の約2400万円の支出が発覚した。8月に辞任した山根明前会長下の過去3年間の会計を調べた結果、海外遠征や強化合宿で支払われた交通費や日当などの領収書がないケースが多々あった。9月に発足した新体制が税理士に調査を依頼し、ずさんな管理が明らかになった。菊池浩吉副会長は21日、「ありえないような管理が続けられてきたことが分かりました」と説明した。

国から助成される強化費の一部も申請できていない。都内の事務所からは大量の領収書が発見されたばかりで、現在は照合作業に追われている。金額は減る見込みだが、「全くなくなることはない」と見通した。

不正判定疑惑などに揺れた今夏の騒動の発端が、金銭に関する告発だった。日本スポーツ振興センター(JSC)から16年のリオデジャネイロ・オリンピック男子代表選手に支払われた助成金が、山根前会長の指示で流用された。過去の反社会勢力との交際も認め、責任を取って辞職していた。

事務所からは約400本の印鑑も発見された。各都道府県連幹部の名前の物で、当人の承諾を得ずに使用していた疑いもある。JSCなどから再発防止策の提出を求められており、同副会長は「使途不明金の原因が分からなければ、策も作れない。年度内には解明したい。刑事告訴もありえる」と述べた。【阿部健吾】