東京オリンピック(五輪)を目指す選手たちは、どんな曲を好み、どんな曲を励みにしているのか? 7競技15人の選手に、一押しの曲を挙げてもらった。アスリートらしく、選手の背中を押すような名曲が勢ぞろいした。選手たちは皆、音楽の力を競技に生かしている。

第5回は体操編。

■村上茉愛 22歳(日体大)

 ★一押し曲 フルスイング

 ★歌手名 NEWS

最初に耳にしたのは大学1年の時。「たまたま聴いて、歌詞がその時の自分にはまったんです」。当時は体重管理ができず、きつい練習を粘り強くやりきることができなかった。日体大の瀬尾監督から「体操への向き合い方を見直しなさい」と叱られ悩んでいた中、全力で前に進むことを歌ったこの曲が支えになった。地道な練習の大切さに目覚め、世界で活躍するようになった今も「よく聴きます」。今年は7月の練習中に右足首靱帯(じんたい)損傷から回復し、11月の世界選手権個人総合で銀メダルを獲得した。

■白井健三 22歳(日体大)

 ★一押し曲 ライオン

 ★歌手名 ベリーグッドマン

「けっこうプロ野球の入場曲でも使われているんです。知ってます?」とうれしそうに話し、選曲の理由を続けた。「仲間の大切さを歌っている曲です。団体戦の前、特にインカレの前によく聴いていました」。日体大の主将として、いかにチームの団結を深められるかに心を砕いた1年。そこに〝1人はみんなのために、みんなは1人のために〟という意味の歌詞が響いた。8月の全日本学生選手権では、萱、谷川航らをそろえた3連覇中の順大を抑え、4年ぶりの優勝を達成。リオ五輪の団体金でもなかったうれし涙を流した。