伊藤美誠(18=スターツ)が女子史上初の2年連続3冠(シングルス、女子ダブルス、混合ダブルス)へ、まず1冠を勝ち取った。混合ダブルスで森薗政崇(23=岡山)と組み、張本智和(15)長崎美柚(16=ともにエリートアカデミー)組を3-1で下し、この種目を連覇した。

男女シングルスでは日本代表クラスがこの日の4回戦から登場し、張本や伊藤、水谷隼(29=木下グループ)、石川佳純(25=全農)、平野美宇(18=日本生命)らが順当に勝ち進んだ。

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「ずっと対戦したかった」。伊藤は昨年12月のワールドツアー・グランドファイナルで優勝し、公式戦初対戦となった張本を思い切り意識した。

昨年の6試合、今回準決勝までの5試合と、1ゲームも落とさず勝ち進んだ前回王者のプライドはひとまず置いた。「彼はミスはしない」。そう15歳の世界ランク3位に敬意を払いつつ、張本得意の高速レシーブ「チキータ」をさせないよう工夫し、されても「怖くない」と言い聞かせ、挑戦者として試合を運んだ。

第2ゲームで初めて1ゲームを落としたが、この謙虚な姿勢が徐々に張本のミスを誘う。1-1で迎えた第3ゲームがポイントとなった。先にゲームポイントを取ったのは張本、長崎組。張本が「あそこで取れなかった…。相手のメンタルが上だった」と悔やむように、伊藤、森薗組はそこから3連続得点でジュースを制した。

来年の東京五輪で金メダルを狙う者同士、自然と通じ合うものがあった。伊藤は「中国の男子選手の球を普通に返している張本くんの球を受けてみたかった」と対戦を望み、そして勝った。球を受けた感想について「試合でも練習でも戦わない。すごく頭が良い選手だと思った。先々を考えて試合運びをしている。球もすごいパワーがあった。また対戦したい」と笑顔で語った。

今月29日、4月に行われる世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)メンバーが発表される。全日本で2年連続3冠を達成し、世界へ弾みを付ける。【三須一紀】