日刊スポーツの新企画「これ、要ります?」の第7回は東京五輪で3度目の五輪出場に挑む男子レスリングのフリースタイル86キロ級、高谷惣亮(29=ALSOK)に登場を願った。不安いっぱいで差し出してくれたのは靴下、それも穴あき。そこに実は一流のすごみが詰まっていたわけで…。

■1人にプレゼント

穴あきの靴下を率先してプレゼントとして頂くのは、この企画だけだろう。「本当に大丈夫なんですか…。貧乏みたいでしょ」と、どこまでも心配そうに他の物も考える高谷を「それこそ、欲しいものです!」と説得。なぜなら、それはただの靴下ではなかったから。一般人は指先やかかとがすり減るが、14年世界選手権銀メダリストの靴下は、右足の親指の付け根付近にぽっかりと丸い穴ができていた。

「僕は蹴り足の力が強いので、いつもここが破れてしまうんです」。なるほど! 「タックル王子」の異名も誇った日本が誇る中量級の雄。鋭さ満点の踏み込みを生み出していた源が、この右足親指にあったのだ。ボクシングの元世界王者山中慎介氏も、足の裏の決まった部分の皮がむけるのが踏み込んでパンチを打てているバロメーターだったが、トップ選手の地面を蹴る力を見せつけられた。

この練習用の靴下は半年もので、1週間ほど前に穴が開いてしまった。「右だけ開くので、いつもは左右を逆にして、両方穴が開いたりしますよ。だからこれはまだ途中。もらった人が左の方も穴を開けてくださいね」と“共同作業”指令も。当選した人は、イケメンレスラーのお願いをぜひ聞いてください!

来年の母国での五輪へ、代表争いが本格化した昨年12月の全日本選手権では、五輪階級の86キロ級を転向初戦で制した。過去2大会の五輪を戦った74キロ級から大幅階級増でも、鋭さは健在。靴下が破れれば破れるほど、東京の舞台も近づく? だろう。【阿部健吾】

◆応募方法 プレゼント希望者は、はがきに住所、氏名、このページの感想を明記の上、〒104・8055(住所不要)日刊スポーツ新聞社スポーツ部「これ、要ります?(7)」係までご応募ください。30日到着分まで有効です。