目指せ、18-19年シーズンのタイトル総取り-。

ノルディックスキー・ジャンプのW杯男子で個人総合首位を独走する小林陵侑(22=土屋ホーム)が24日、札幌市内の所属先本社で会見した。

年末年始のジャンプ週間で史上3人目となる4戦4勝の完全制覇を達成。2月の世界選手権(オーストリア)と日本男子初のW杯総合優勝の「3冠」に意欲を示した。

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小林陵侑が緊張した面持ちで登場した。昨年末、欧州遠征に出発した際、新千歳空港にいた報道陣は4人。ジャンプ週間完全制覇を受けて急きょ設けられたこの日の会見では約50人に囲まれた。「テレビカメラが多くて緊張しています」。22日に帰国してからは、改めて日本国内での反応の大きさに驚いているという。

日本勢2人目の偉業を成し遂げたが、シーズンはまだ半分を消化したに過ぎない。「世界選手権の金メダル、W杯総合チャンピオン目指して頑張りたい」という、次の大きな目標が待っている。日本勢の世界選手権優勝は過去3人が4度しているが、W杯総合優勝はいない。世界的に見ても、同一シーズンの「3冠」は過去3人だけだ。今季W杯は14戦で9勝、個人総合で2位に504点差で首位独走も、気を抜ける状況ではない。

だからこそ、気を引き締めて後半戦に臨む。「ジャンプは何が起こるかわからない競技」と心得ているが、昨オフから同社のサポートで脳波を計測したトレーニングやメンタリストによる座学で精神面を強化してきた。「心が成長した。緊張を受け止められるようになった」。出場すれば2度目となる世界選手権も「楽しみ」と重圧を感じる様子はない。

今季の活躍が、所属先への“活況”につながっていることも、背中を押してくれる。同社はこの日、一戸建て住宅「小林陵侑モデル」を企画してることを公表。同社提供のラジオ番組「DREAM YELL」(毎週水曜・午後7時、AIR-G')では、レギュラー出演が検討されているという。スキー部の千田侑也部長(33)は「(小林陵の活躍で)本州でも会社の名前が広がっている」と話す。

明日26日からは2年ぶりの開催となるW杯札幌大会がある。新星を一目見ようと、例年以上のファンが集まるのは間違いない。「1試合1試合挑戦者の気持ちで優勝を目指しています」。まずは凱旋(がいせん)試合でビッグジャンプを見せる。【西塚祐司】