大坂なおみ(21=日清食品)が、ペトラ・クビトバ(チェコ)との頂上決戦を7-6、5-7、6-4で制し、男女を通じて日本人初の全豪シングルス女王に輝いた。

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どちらに転んでもおかしくない試合だった。獲得ポイントは大坂が116でクビトバが112。この接戦を大坂が制することができたのは、ミドルの攻防で上回ったからだ。

第1セットはお互いにサービスをキープしてのタイブレーク。先取したのは大坂だが、クビトバのレフトハンドからのサーブ、速くて深くて重いストロークの威力を十分に感じ取ったはずだ。クビトバも同様だろう。第2セットから試合展開に変化が見られた。

お互いにコート中央、ミドルへの配球が主体になった。テニスのネットの高さは両サイドが107センチで中央が91・4センチ。威力十分の相手のボールを無理にサイドに展開してネットするより、ミドルで我慢しながらポイントを狙う戦略だ。

大坂はクビトバの深いボールに対して決して後退しなかった。ベースライン上からカウンター気味に鋭いショットを続けてチャンスポールを呼び込み、ウイナーにつなげた。特に低い体勢から放ったバックハンドはクビトバにダメージを与えていた。

マッチポイントをつかみながら第2セットを落とした大坂には気持ちの揺れが見られた。それでも立ち直れたのはミドルの攻防で優位に立っていたからだろう。(亜大教授、テニス部総監督)