【アナハイム(米カリフォルニア州)5日(日本時間6日)=松本航】7日(同8日)開幕のフィギュアスケート4大陸選手権を前に、女子シングルで優勝候補の紀平梨花(16=関大KFSC)にアクシデントが発生した。同地近郊で公式練習に臨み、ジャンプ着氷時に昨年1月に骨折した左手薬指を痛めた。本人も「突き指だと思うけど、結構やばい」と言うほどで、開幕日のショートプログラム(SP)へ不安要素が生まれた。

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午前と午後に分けられたSP2日前の公式練習。合計80分間の最終盤、3回転ルッツで転倒した紀平が表情を曇らせた。

「突き指だと思うけど、まだ分からない。結構やばい」。氷上のくぼみに左手薬指がかかり「ぐにゃぐにゃってなった」

リンク際へ急行して薬指にテープを巻き、以降はジャンプを跳ばずに午後練習を終えた。

青く腫れた患部は、偶然にも昨年1月に骨折した“古傷”だった。スケーターにとって手の指は、ジャンプの跳び上がりで体を締める際に重要な部位となる。

練習後は笑顔を見せながらも「歩くのもちょっとまだ無理(痛みを感じる)なぐらい。今から(痛みが)急激に引いてくれればいいんですが…」と不安を隠せない。代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)はこの日、計12本の成功。午前に使った本番リンクも「割と調整しやすい」と好感触だった。

昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルで初制覇した。3月の世界選手権(さいたま市)へ、初出場初優勝で弾みをつけたい今大会は優勝候補筆頭。国際スケート連盟(ISU)公認の今季最高点で2番手の坂本に19・22点差をつける。一夜明けての様子を確認し、病院での検査など対応策を考える予定だ。

取材エリアでは左手の親指と人さし指をつなげた「OK握り」など、ジャンプ時の手の握り方を数種類試した。「こんな感じで締められるかな」と早速“イメトレ”まで行った。

本番会場と練習用リンクが車で約30分という、移動距離をともなう今大会。一方、決戦の舞台から道を挟んだ向かいには、米大リーグ・エンゼルスの本拠地「エンゼルスタジアム」がある。

昨年12月のイベントで同球団の大谷翔平と対面した紀平は「自信があふれている感じがしたので、そういう風になりたい」。まずは目の前の難題を乗り越える。