日本ジャンプ界を席巻する小林4きょうだいの末っ子、小林龍尚(たつなお、岩手・盛岡中央2年)が、男子スペシャルジャンプ(ヒルサイズ86メートル)で2位に入った。

ワールドカップ(W杯)個人総合で首位を独走する次兄陵侑(22=土屋ホーム)に続けとばかりに、昨年の22位から大きく飛躍した。女子大回転では、森永ののか(秋田・角館3年)が広田静空(北海道・旭川明成2年)と2本合計同タイムで優勝した。

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小林があと1歩のところで優勝を逃した。1本目で2位につけると、2本目は強い横風を受けながらも、冷静に体勢を維持し81メートルをマーク。優勝した1人前の藤田慎之介(南北海道・東海大札幌3年)が最長不倒84メートルをマークしたアナウンスが聞こえず、着地後は思わずガッツポーズが出るほどの納得の飛躍だった。「飛び出しは良かった。横風にあおられたんですけど、思ったより飛べたのでいったかなと思った。今の自分の最低限の力は出せたんじゃないかと思います」と冷静に振り返った。

長兄潤志郎(27=雪印メグミルク)、次兄陵侑はともに平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)代表でW杯優勝経験もある。姉諭果(24=CHINTAI)もユニバーシアード優勝などジャンプ一家で有名だ。兄たちの活躍と比例して注目度も上がり、常にプレッシャーを受けてきた。「去年は技術が伴っていないのに、やってやろうという気持ちが強かった。今年は自分ができることをやろうと思ってやれている」と話す。兄たちの活躍に踊らされることなく、着実に成長を重ねてきた。

日本代表として1月の世界ジュニア選手権(フィンランド)に出場。個人は24位に終わったが、団体戦では4位に入った。「個人的には実力を出せた」と世界を経験したことで自信を深めた。五輪での金メダルも目標だが、それよりも兄陵侑が突き進むW杯総合優勝が理想だ。「兄の活躍は刺激になっている。一番目標としている選手だし、一番超えたい選手でもある。兄を超えるのは自分しかいないと思っている」。末恐ろしい末っ子はさらなる飛躍を誓った。【野上伸悟】