ショートプログラム(SP)5位発進の紀平梨花(16=関大KFSC)がフリー153.14点の合計221.99点で逆転優勝した。

前日7日の反省を生かし、臨んだフリーだった。SPで失敗したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も成功。演技後はガッツポーズをみせた。

紀平は「ショートが終わってから、ショートはあまりいい演技じゃなかったので、ミスが許されないと考えていた。いつもより集中できてよかった」と話した。

フリーは冒頭のジャンプで3回転半に成功した。続く連続ジャンプは3回転半-3回転トーループを跳ぶ選択もあったが、この日は2回転半-3回転トーループのコンビネーションに変更した。「(直前の)6分間練習が終わるまで、まだ決めていなくて。6分間が終わった時に思った以上に試合の方のリンクに慣れきっていなかったので(3回転半を)2本は難しいなと感じていた。無理することなく、絶対に安全にいい成績を残せるように(3回転半を)1本と、6分間が終わった時に考えました」。

直前の判断で“伝家の宝刀”を1本にしても、首位テネル(米国)との5・06点差をきっちりと逆転。1本に抑えても、3回転半の破壊力は抜群だった。

SPは冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が1回転半となり、規定により0点。大会前に左手薬指の亜脱臼に見舞われ、SP前の公式練習では靴ひもの調節などで、3回転半に挑む回数が激減していた。

この日はSP後に「練習でたくさん跳ぼうと思っている」と誓った通り、午後12時40分からの公式練習で4本連続を含む計7本の3回転半に成功。午後10時過ぎの本番に向けて、不安を軽減させた。

今季全試合トップのフリーは、1月に10日間ほど行った米国合宿でさらに磨き上げた。振付師のトム・ディクソン氏と「ビューティフル・ストーム」の手直しを行い「角度とか、顔の表情とか、意味を教えてもらった。知らないことをたくさん教えてもらった」。

ステップへのディクソン氏からの要望は「海の『波』の感じを表現して」。ポーズについても「ここはハッピー」「ここはダーク」と頭の中を整理した。紀平は「ステップを1~3に分けると『1と3はちょっとしたハッピーなところで、2のパートだけ少しダークなイメージ』と言われたり、振り付けのところでも『激しく変えて』と言われて、顔の表情とか、ハッピーと、怖いイメージをすごく使い分けるようになりました」。注目されるジャンプ以外も磨き上げてきた。

3月には今季最大の大舞台である世界選手権(さいたま市)に臨む。左手負傷の苦境で滑りきった経験は、必ずや今後のスケート人生に生きる。

次の大目標は自国開催の世界選手権(3月、埼玉)だ。「世界選手権はSP、フリーでミスのない演技をしたいっていうのは変わらない目標なので、今から頑張っていきたい」と口にした。