世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、同年代対決に屈した。同じ97年生まれで同23位のベンチッチ(スイス)に3-6、1-6で完敗し、2連覇を逃した。世界1位を争っていた現在2位のハレプ(ルーマニア)も敗退。大坂の次週世界1位は確定したが、勝利で飾ることはできなかった。

過去、年間で1度も負けなかった選手はいない。ツアー最多167度の優勝を誇り、80年代絶対的な女王と君臨したナブラチロワ(米国)でさえ、83年に86勝1敗。その数字もすごいが、負けない選手などいない。ただ、課題を克服して負けを減らすことはできる。

大坂が、全米、全豪を制したのは、強打が安定して入ったからだ。しかし、強打は弾道が直線的で低い。ネットの高さぎりぎりに飛ぶため、ミスするリスクも大きい。それを4大大会7試合でやりきる能力には驚くばかり。ただ、すべての大会では無理がある。

この日の試合中に、ジェンキンス・コーチは「もう少し高い弾道で」と指導をした。球に縦回転をかけて、弾道を少し山なりにする。大坂も試みたが、以前、このような球種は練習でも打ったことがないと話していた。この球種を体得すれば、凡ミスは少し減らせる。相手の第2サーブに対し、リターンの位置も工夫が必要だ。1発で仕留めるため、常にベースラインの内側に立つ。しかし、球が弾んでから打つまでの時間が短い。球の速度も落ちていない。少し下がって構えるのを交ぜれば、ミスも減るのではないだろうか。

これはすべて安定するための課題だ。しかし、大坂自身が、4大大会だけで勝つことを考え、他の大会を練習だと位置づけていれば別の話。それはひとつの方向性だ。また、強打こそが自分のすべてだと思えば、現在のスタイルでミスを減らすしかない。